梅雨頃になると、半夏生(はんげしょう)と言う言葉を見かけるようになるのではないでしょうか?
地域によって、タコ、うどん、鯖や餅などを食べる風習もあるのです。
半夏生とはどういう日なのか、今年の半夏生はいつなのか、半夏生に食べる食材について紹介します。
今年の半夏生はいつ?
かつては夏至(一年のうち日の出から日没までの時間が最も長い日)から数えて11日目、もしくはその日から5日間でしたが、現在では天球上の黄経100度の点を太陽が通過する日となっています。
毎年7月2日頃にあたりますが、
2020年の半夏生は7月1日(水)となります。
この頃は梅雨明け前の地域も多く、大雨が降ることも多いようです。
これを「半夏雨」(はんげあめ)や、「半夏水」(はんげみず)とも言います。
近年、ひどい水害のニュースを目にしますが、この時期と重なっている被害もあります。
この時期の大雨には注意が必要です。
半夏生とは
半夏生とは、『雑節』の1つになります。
雑節(ざっせつ)とは
五節句・二十四節気以外に季節の移り変わりの目安となる日のことです。 二十四節気は中国で作られた暦なので、日本の季節の変化を十分に読み取れないため、雑節はその補助をする為に考えられた日本独自の暦です。 ↓雑節には下記のような日があります。
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簡単に言ってしまえば、季節の変わり目となる日と言うことになります。
農家に人達にとっては大事な節目の日で、半夏生までに田植えを終わらせ、それ以降はどんな理由があろうと田植えをしてはいけないという風習がありました。
筆者の実家は農家ですが、だいたい毎年5月末か6月初旬に田植えをしています。
半夏生の7月初旬には余裕で田植えを終えていると言うことになります。
実家は中国地方なので、もしかしたら東日本が基準なのかもしれませんね。
出典:PAKUTASO
半夏生は梅雨明けの頃であり、半夏(はんげ)という毒草が生える多湿で不順な時期とされていました。
そして半夏生までに田植えを済ませた農家の多くは、半夏生の日の天候によって稲作の出来を占ったとか。
この日から5日間を休みにする地方もあるそうなので、畑仕事や田植えを終わらせる目安だったのでしょうね。
現在は品種改良が進んでいるため、昔のように半夏生を田植えを終わらせる目安としなくても良いそうです。
半夏生の呼び名の由来は、漢方薬に使われている半夏(サトイモ科のカラスビシャク)が生える時期だからという説があります。
またハンゲショウ(ドクダミ科)という植物が、この時期に花が咲くからという説もあります。
半夏生に食べられている食材
タコ
半夏生にタコを食べるという風習は、主に関西地方に根付いています。
この時期になると、スーパーのチラシや鮮魚コーナーのタコ売場には『半夏生』『タコの日』なんて宣伝しています。
田んぼの稲の根が、タコの足のように四方八方にしっかりと根を張りますように、タコの足(吸盤)のように大地に吸い付き立派に実りますようにと願いが込めタコを食べるようになったと言われています。
八本足で末広がり、『多幸』と書いてタコと読ませたり、縁起の良い食材だとつくづく思います。
しかもタコは高タンパク、低カロリーで、ビタミン、ミネラルなど豊富に含まれている栄養の幅が広い食材です。
効果効能は、心臓病、動脈硬化、肥満の改善と予防など。
また、亜鉛による味覚障害の予防や改善、血行促進作用、肝機能亢進作用も期待されます。
タコにはタウリンが豊富に含まれております。
栄養ドリンクで良く目にする成分ですね。
なんとタコの足1本に対して、およそ『1000mg』含まれているそうです。
このタウリンがコレステロールを低下させてくれる作用があり、動脈硬化や生活習慣病、認知症の予防、肝機能強化が期待できるとされています。
田植えが終わりひと段落ついた農家の人たちは、タコを食べて疲れを癒し、夏に向けて英気を養っていたのですね。
栄養面からみても、この時期にタコを食すことは理にかなっているといえそうです。
我が家は半夏生はタコの地域ですので、家族でタコパーをして楽しんだりしていますよ。
うどん
香川県では、田植えが終わる半夏生に、労をねぎらってうどんを食べる習慣があります。
さすがうどん県、農作業を手伝ってくれた人に振る舞うようになったことがきっかけで、半夏生にうどんを食べる風習が生まれたと言われています。
うどんの原料である小麦粉には筋肉疲労の回復効果のあるグルタミンペプチドや、免疫力を上げ感染症予防効果のあるグルタミンなどが含まれているので、タコ同様に疲れを癒すために適した食材といえます。
半夏生にはうどんと一緒に、タコや、次に紹介します鯖をトッピングして食べるのも良いかもしれません。
一緒に食べると、なんだか凄く力が湧いてきそうですね!
また、香川県製麺事業共同組合(現:本場さぬきうどん協同組合)が
毎年7月2日を『うどんの日』
に制定しています。
毎年7月2日には『うどんの日』にまつわる様々なイベントが催されていて、『中野天満神社』にうどんを奉納する『献麺式』や、無料でうどんを振舞われる『うどん接待』、『手打ちうどん教室』などのが開催されています。
鯖
福井県では半夏生にサバを食べる習慣があります。
福井県の魚屋さんでは毎年恒例で『半夏生鯖』を焼き上げて販売しているところもあるそうです。
サバにはコレステロールや中和脂肪を抑えたり血液の流れをよくしたりする効果があるので、タコ同様、暑い夏に向けて食べたい食材といえます。
餅
奈良県では半夏生にきな粉餅を食べる風習があります。
半夏生の日に豊作を願って田んぼの四隅に半夏生餅をお供えすると良いとも言われていて、体力回復だけではなく神様へお供えものという意味合いで半夏生に食されています。
半夏生餅は、つぶし小麦ともち米を同量ずつ合わせてつき、きな粉をまぶした餅です。
まとめ
タコ、うどん、鯖、餅と地域ごとに様々な文化、風習があり、それぞれの地域で親しまれている半夏生の食材があります。
年に一度なので、是非自分の地域の半夏生食材を食べて、風情を楽しんでみませんか?
美味しく体力をつけ、暑い日本の夏を乗り切りましょう!