『夏越の祓(なごしのはらえ)』と言う儀式はご存じでしょうか?
ピンとこない方でも、6月末や7月末に神社に用意された大きな輪をくぐった事はある方はいらっしゃるのではないでしょうか?
輪をくぐり厄落としをする儀式ですが、意味や由来などなかなか知らなかったりします。
今回は夏越の祓の意味や、その日に食べると元気がでる行事食についても紹介します。
夏越の祓とは
夏越の祓の『祓(はらえ)』とは、浄化と言う意味になります。
1年のうち半分が過ぎる6月末に全国各地の神社で行われる伝統行事で、神社内につくられた茅の輪をくぐることで、半年分の穢れ(けがれ)を清め、残り半年の無病息災を祈願する行事です。
- 茅の輪くぐり(ちのわくぐり)
- 夏越大祓(なごしのおおはらえ)
- 輪くぐりさん
などと呼ばれる所もあります。
茅の輪とは、茅(ちがや)という草を編んでつくられた輪のことです。
茅の輪のくぐり方
茅の輪は誰でも自由にくぐることができます。
一般的なくぐり方を紹介しますが、神社によって作法が異なることもありますので、各神社の作法に倣って祈願してください。
基本的には、左まわり → 右まわり → 左まわりと8の字を描くように3回茅の輪をくぐって回ります。
- 輪の前に立ち一礼をして、「水無月の 夏越しの祓する人は 千歳の命 のぶというなり」と唱えながら左まわりにくぐり、輪の前に戻ります。
- 再度一礼をし、同様に唱えながら右まわりにくぐって輪の前に戻ります。
- 3回目も一礼をし、同様に唱えながら左まわりにくぐって輪の前に戻ります。
- 最後に一礼をして輪をくぐり、神前に進んでお参りします。
夏越の祓いに食べる和菓子『水無月(みなづき)』とは?
夏越の祓いには無病息災を願い、和菓子の『水無月』を食べる風習があります。
昔は氷は高価でしたので、氷に見立てた生地(三角形)に、邪気払いとされていた小豆をのせたお菓子で、京都では6月に食べられる定番和菓子となっています。
和菓子屋さんで購入できますが、電子レンジで手作りもできますのでチャレンジしてみるのもオススメです。
レンジで水無月の作り方
材料(8切分(容器一個分))
- 薄力粉をふるいにかけ、ダマをなくす。
こうすることでなめらかな水無月になります。 - ボウルに白玉粉を入れ、水(100cc)を少しずつ加えながらゴムべらで粒をつぶすように混ぜる。
- ふるっておいた薄力粉、砂糖を加え、残りの水(140cc)を少しずつ入れながらしっかり混ぜる。
- 耐熱容器にクッキングシートをしく。
②をこし器でこしながら流し入れ混ぜる。 - 生地大さじ4杯を別の容器に取り分けておく。
- ラップをして電子レンジにかける。(500Wで約5分間)取り出して、甘納豆を全体に散らす。
- その上に取り分けておいた生地をまんべんなく流し入れ、再度電子レンジにかける。(約3分間)
- 冷めたら容器から取り出し、三角形に切って出来上がり。
夏越ごはん
夏越の祓の行事食で、『夏越ごはん』はご存じでしょうか?
夏越の祓の神事に合わせて2015年より、6月30日は『夏越ご飯の日』とされています。(米穀安定供給確保支援機構により提唱)
栗や雑穀の入ったご飯に、緑や赤の夏野菜を使った丸いかき揚げをのせ、生姜を効かせたおろしだれをかけたご飯ですが、食材それぞれに意味が願いがあります。
栗 | 茅の輪(ちのわ)の由来となった、蘇民将来(そみんしょうらい)が素盞嗚尊(すさのおのみこと)を『粟飯』でもてなしたという言い伝えから。 |
雑穀 | 雑穀に入っている豆、小豆は邪気を払うとされている。 |
かき揚げ | 茅の輪をイメージした丸いかき揚げ。
赤や緑の旬の夏野菜で作るが、赤や緑が邪気払いの色とされているから。 |
生姜 | 百邪を防ぐといわれている。 |
暑い夏を元気に過ごすことを願った行事食です。
まだ馴染みがないかもしれませんが、スーパーの総菜売り場にも並んだり、レストランなどでも提供されているお店も出てきています。
恵方巻みたいに、これから浸透してくるかもしれませんね。
年越の祓とは
12月末にも、『祓』の儀式、『年越の祓』があります。
新たな年を迎える為に心身を清め穢れを祓う神事で、12月30日にされる神社もあれば、大晦日に行われる所もあります。
師走の大祓、などとも呼ばれています。
まとめ
日々の生活の中で、知らず知らずのうちに犯してしまった過ちや罪、心身の穢れを祓い清めてくれる儀式を紹介しました。
1年で大切な節目となりますので、これを機会に自分を振り返ってみることも必要かもしれません。